不登校の子どもを支える親の体験談|不安や葛藤と向き合ってきた日々

子どもが学校に行けなくなったとき、親はどのように接すればよいのか、何が正解なのか分からず、悩むことがあります。

学校に行ってほしいと思う一方で、無理をさせてはいけないとも感じる。

子どもの将来が心配になる一方で、目の前の子どもを追い詰めたくない。

そんな気持ちの間で揺れる保護者も少なくありません。

今回は、不登校の中学生の子どもを育てる40代の母親を通して、親の不安や葛藤、家庭での関わり方の変化について紹介します。

今回話を聞いた方

  • お名前:Aさん(仮名)
  • 性別:女性
  • 年齢:40代
  • 家族構成:夫・中学生の子ども1人
  • 不登校の期間:約1年
  • 現在の状況:子どもは自宅で過ごす時間が多い
  • 主な悩み:子どもの将来、学校との関わり方、家庭での接し

1.子どもが学校に行けなくなったとき、何が起きているのか分かりませんでした

――お子さんが学校に行けなくなったころ、どのような気持ちでしたか?

最初は、どうして学校に行けないのか、私にもよく分かりませんでした。

朝になると起きるのがつらそうだったり、学校の準備をしようとしても動けなかったり。

体調が悪いと言う日もありました。

「今日は休んだら、明日は行けるかな」
「何か学校で嫌なことがあったのかな」

いろいろ考えましたが、本人に聞いても、はっきりした答えが返ってくるとは限りませんでした。

私としては、理由が分かれば何か対策ができると思っていたんです。

でも、本人も自分の気持ちをうまく説明できなかったのかもしれません。

――特に不安だったことは何ですか?

やっぱり、これから先のことです。

勉強が遅れてしまうことも心配でしたし、友達との関係がどうなっているのかも気になりました。

今は学校に行けなくても、将来は進学できるのか、ちゃんと社会に出られるのか。考え始めると、いろいろな不安が出てきました。

周りの子どもたちが毎日学校に通っている様子を見ると、どうしてうちの子は行けないんだろう、と考えてしまうこともありました。

今思えば、目の前の子どもの状態を理解したい気持ちと、将来への不安が混ざっていたのだと思います。

2.心配だからこそ、つい何度も声をかけてしまいました

――お子さんには、どのように接していましたか?

最初のころは、朝になると何度も声をかけていました。

「今日は学校に行けそう?」
「少しだけでも行ってみない?」
「勉強はどうするの?」

カレンダー

本人のことが心配だったので、何かきっかけをつくりたかったんです。

でも、何度も聞いているうちに、子どもの表情が曇ってしまうこともありました。

私も、返事がないとイライラしてしまうことがありました。

――声をかけたあと、後悔することもありましたか?

ありました。

強い言い方をしてしまったあとに、子どもの様子を見て「言いすぎたかな」と落ち込むことがありました。

子どもを責めたいわけではないんです。

ただ、どうしたらいいのか分からなくて、焦っていたんだと思います。

学校に行けるようになってほしい。

でも、無理に行かせて、もっとつらくなってしまったらどうしよう。

その間で気持ちが揺れていました。

親だからしっかりしなければ、と思っていましたが、実際には私自身も戸惑ってばかりでした。

3.すぐに答えを出そうとせず、子どもの様子を見るようになりました

――家庭での関わり方に変化はありましたか?

少しずつですが、学校に行けるかどうかを毎朝確認することだけが大切なのではない、と考えるようになりました。

もちろん、学校のことが気にならなくなったわけではありません。

勉強や進路のことも心配です。

それでも、毎日その話ばかりしていたら、家にいる時間まで子どもにとって落ち着かないものになってしまうかもしれないと思いました。

そこで、学校の話をするタイミングを少し考えるようにしました。

子どもが好きなことをしているときは、すぐに勉強や登校の話に結びつけない。

普段の会話ができるときには、その時間を大切にする。

そんなことから始めました。

――お子さんの様子は変わりましたか?

何かが劇的に変わった、というわけではありません。

学校に行けない日がすぐになくなったわけでもありませんし、私の不安が全部なくなったわけでもありません。

ただ、私自身が少しずつ、すぐに答えを出そうとしなくなったように思います。

以前は、学校に行けないという状況を何とか変えなければ、と考えていました。

でも、今は、まず家でどのように過ごしているのか、本人が何に困っているのかを考えるようになりました。

子どもが何を感じているのか、すべてを理解できているわけではありません。

それでも、分からないことを無理に聞き出そうとせず、様子を見ながら関わることも必要なのだと思うようになりました。

4.子どものことばかり考えて、自分の気持ちを後回しにしていました

――お母さん自身がつらいと感じることはありましたか?

ありました。子どものことを考えていると、気持ちが休まらないんです。

朝起きて、今日も学校に行けないのかなと思う。日中は、子どもが何をしているのか気になる。夜になると、これからどうなるんだろうと考えてしまう。

何もしていない時間でも、頭のどこかでずっと子どものことを考えているような感じでした。

友人と話していても、子どもの学校の話題になると、どう返事をしたらいいのか分からなくなることがありました。

周囲に悪気がないと分かっていても、何気ない言葉に落ち込むこともありました。

――そのような気持ちとは、どう向き合っていますか?

今も、いつも上手に切り替えられるわけではありません。

ただ、何でも自分1人で解決しようとしなくてもいいのかな、と思うようになりました。

悩みを話せる相手がいれば話してみる。

必要な情報を調べたり、学校や相談窓口に話を聞いてもらったりすることも考える。

すぐに答えが見つからなくても、誰かに話すことで、自分が何に困っているのか整理できることもあると思います。

子どもを支えるためにも、自分自身が疲れ切ってしまわないようにすることは大切だと感じています。

5.子どもの将来について、少しずつ情報を集めるようになりました

――進路については、どのように考えていますか?

以前は、学校に行けない状態が続くと、この先の進路がどうなってしまうのかと不安でした。

でも、調べてみると、学校への通い方や学び方にはいろいろな選択肢があることが分かりました。

今すぐに進路を決める必要はなくても、どんな選択肢があるのかを知っておくだけで、少し気持ちが違うこともあります。

もちろん、情報を集めればすべて解決するわけではありません。

子ども本人の気持ちもありますし、家庭によって利用できる支援も違います。

それでも、分からないことを1つずつ調べたり、必要に応じて相談したりすることで、これから考えられることが少しずつ見えてくるのではないかと思っています。

――今、同じように悩んでいる保護者に伝えたいことはありますか?

私自身、まだ迷うことはたくさんあります。

子どもの将来が心配になることもありますし、もっと何かできるのではないかと考えることもあります。

でも、すぐに答えを出せないからといって、何もしていないわけではないんですよね。

子どもの様子を見ながら、必要な情報を集めたり、相談できる場所を探したりすることも、1つの行動なのだと思います。

親だからといって、いつも落ち着いていられるわけではありません。

自分の気持ちがつらいときには、周りの人に頼ってもいいと思います。

子どものことと同じように、自分自身のことも大切にしてほしいです。

6.不登校の子どもを支えるなかで、親が大切にしたいこと

Aさんのモデルケースから見えてくるのは、不登校の子どもを支える保護者もまた、不安や迷いを抱えているということです。

子どもの将来を心配するからこそ、何かをしてあげたいと思う。

けれども、何が正しいのか分からず、思うようにいかないことに焦ってしまう。

そのような気持ちを抱えることは、決して珍しいことではありません。

子どもとの関わり方に迷ったときには、次のようなことを意識してみるのも1つの方法です。

施設

登校できたかどうかだけで判断しない

家での過ごし方や、子どもの体調、気持ちにも目を向ける。

別室

すぐに答えを出そうとしない

本人が自分の気持ちを整理するまで、時間が必要な場合もある。

人

親自身の気持ちも大切にする

不安や疲れを1人で抱え込まず、信頼できる人や相談窓口を頼る。

パソコン

必要な情報を少しずつ集める

学校や教育相談窓口などに相談し、家庭に合う支援や進路の選択肢を知る。

ただし、すべての子どもに同じ対応が合うわけではありません。

子どもの状態によっては、学校や専門機関と連携しながら支援を考えることも大切です。

7.まとめ|親も1人で抱え込まなくていい

不登校の子どもを支える日々には、心配や焦り、戸惑いなど、さまざまな気持ちが生まれます。

子どものことを大切に思うからこそ悩み、どうすればよいのか分からなくなることもあるでしょう。

すぐに状況が変わらなくても、子どもの様子を見ながら関わり方を考えたり、必要な情報を集めたりすることはできます。

そして、保護者自身が疲れたときには、誰かに頼ることも大切です。

不登校への向き合い方に、すべての家庭に当てはまる1つの正解があるわけではありません。周囲と比べすぎず、子どもと保護者の双方にとって無理のない方法を探していきましょう。