養育費をもらっていないとき、どうすればいい?ひとり親家庭のための請求の進め方

広告

「養育費、もらえていないけれど、今さら請求してもいいのかな」

離婚のときに取り決めをしなかった。決めたはずなのに、いつの間にか支払いが止まった。

理由はさまざまですが、養育費を受け取っていないひとり親家庭は少なくありません。

この記事では、取り決めの有無によって変わる請求の進め方と、強制執行のしやすさや「法定養育費」など、近年変わった制度を整理しました。

「自分の場合はどう進めればいいのか」を考える材料として使ってください。

1.養育費を受け取っていないのは、珍しいことではありません

離婚したあと、養育費を継続して受け取っている家庭は、実は多くありません。

 

こども家庭庁

「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」

数字の背景は家庭ごとに違います。

「相手と関わりたくなくて請求しなかった」「取り決めをしないまま別れた」「最初は払われていたのに止まった」。

どれも、珍しい話ではありません。

そして、お子さんが不登校の時期と重なると、負担はさらに重くなりがちです。

登校の付き添いや急な休みへの対応で働き方に制限が出る一方、進学先の学費など、これからかかるお金も見えてくる。

そういう時期だからこそ、養育費について一度整理しておく意味があります。

養育費は、親のためのお金ではなく、子どもが生活し、学ぶためのお金です。

請求することは、特別なことでも、わがままなことでもありません。

2. まず確認したいのは「取り決め」があるかどうか

養育費の進め方は、離婚のときに取り決めをしたかどうかで大きく変わります。

ご自身がどちらに当てはまるかで、この先の章の読み方が変わります。

豆電球

取り決めがある(調停調書・審判・公正証書・離婚協議書など)のに支払われていない → 3章へ

豆電球

取り決めをしていない、または口約束だけ → 4章へ

取り決めの「形」も大切です

同じ取り決めでも、強制執行(差押え)のしやすさは形によって変わります。

家庭裁判所の調停調書・審判書

そのまま強制執行の根拠になります

公正証書(「強制執行を受けても構いません」という文言=執行認諾文言つき)

強制執行の根拠になります

夫婦で作っただけの離婚協議書や口約束

約束としての意味はありますが、差押えをするには改めて調停などの手続きが必要になります

3. 取り決めがあるのに支払われていない場合

学校

まずは「履行勧告」という方法があります

家庭裁判所には、調停や審判で決まった養育費が支払われないときに、相手へ支払いを促してもらう「履行勧告」の制度があります。

費用はかからず、申し出も比較的簡単です。

ただし、強制力はないため、相手が応じない場合は次の手段に進みます。

学校

支払いが続かない場合は、強制執行(差押え)

調停調書や執行認諾文言つきの公正証書があれば、相手の給与や預貯金を差し押さえる強制執行を申し立てることができます。

給与の差押えは、相手の勤務先から直接支払いを受ける形になるため、毎月の未払いを繰り返しにくい方法です。

相手の勤務先や財産が分からない場合に備えて、制度も整ってきています。

出典:裁判所「養育費等のワンストップ執行手続(第三者からの情報取得)」、法務省「養育費について」)

「相手の財産が分からないから、どうせ無理」と諦める前に、使える制度が増えていることは知っておいて損はありません。

4.取り決めをしていない場合

取り決めがない場合は、まず「額を決める」ところから始まります。

スクロールできます

STEP

協議

相手との話し合い(協議)で決める

STEP

調停

話し合いが難しい場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てる

STEP

審判

調停でまとまらなければ、審判で裁判所が決める

金額の目安には、裁判所が公開している「養育費算定表」が使われます。

双方の収入と子どもの年齢・人数から、おおよその範囲が分かるようになっています。

知っておきたい2つのこと

(出典:政府広報オンライン「法定養育費 取決めがなくても請求できる暫定的な養育費」)

5.自分で進める場合の相談先

手続きは、専門家に頼まなくても進めることができます。費用を抑えたい場合の相談先として、次のような窓口があります。

お住まいの自治体のひとり親相談窓口

制度全般の相談ができます

法テラス(日本司法支援センター)

収入などの条件を満たす場合、無料の法律相談が利用できます

家庭裁判所

調停の申立ては本人でもできます。履行勧告も家裁への申し出です

ただし、調停や差押えの手続きは、書類の準備や期日への出席など、それなりに時間と手間がかかります。

お子さんの対応で日々に余裕がない時期は、その負担自体が重い、というのも正直なところだと思います。

6. 相手と直接やり取りせず、専門家に任せる選択肢

①養育費の回収を扱う弁護士事務所に依頼する

「相手と連絡を取り合うこと自体がつらい」「仕事と子どもの対応で、手続きに割く時間がない」という場合は、養育費の回収を扱う弁護士事務所に依頼する方法もあります。

たとえば、ひやま法律事務所が運営する「養育費ドットネット」は、養育費の未払い回収に絞ったサービスです。

豆電球

②これからの支払いに備える「養育費保証」という方法

上で紹介した養育費ドットネットは、すでに支払われていない分を取り戻すための方法でした。

これとは別に、「これから先、支払いが止まったらどうしよう」という不安に備えるサービスもあります。

株式会社Casaの「養育費保証PLUS」は、養育費の取り決めがある人を対象に、相手からの支払いがなかった月に、Casaが代わりに立て替えて支払う保証サービスです。

自治体によっては、初回保証料への補助(最大5万円)を受けられる場合もあります。

豆電球

申し込みには審査があり、離婚済みの方は「現在、未払いがないこと」が条件です。

過去にたまった未払い分は保証の対象にならないため、その分の進め方は、強制執行や弁護士への依頼など別の方法とあわせて考える形になります。

離婚前でも事前審査は受けられます。

向いているケース・向いていないケース

正直に分けて書いておきます。

向いているケース

対象かどうか分からない場合は、まず無料相談で確認するのが確実です。

7.まとめ

豆電球

養育費は、子どものこれからの生活と学びを支えるお金です。

進学など、これからお金がかかる時期が見えているなら、なおさら一度、整理してみる価値があります。

通信制高校など進学にかかる費用については、こちらの記事でまとめています。

通信制高校の学費はいくら?公立・私立の違いと3年間の総額

通信制高校の学費を、公立・私立・サポート校の違いから解説。就学支援金(2026年度の新制度)を使った場合の実質負担を、実際の学校の金額でシミュレーションします。入…

あわせて読みたい記事

参考・出典

※制度の内容は2026年10月時点の公表内容です。個別の事情によって進め方は変わるため、具体的な手続きは窓口や専門家にご確認ください。