養育費をもらっていないとき、どうすればいい?ひとり親家庭のための請求の進め方
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「養育費、もらえていないけれど、今さら請求してもいいのかな」
離婚のときに取り決めをしなかった。決めたはずなのに、いつの間にか支払いが止まった。
理由はさまざまですが、養育費を受け取っていないひとり親家庭は少なくありません。
この記事では、取り決めの有無によって変わる請求の進め方と、強制執行のしやすさや「法定養育費」など、近年変わった制度を整理しました。
「自分の場合はどう進めればいいのか」を考える材料として使ってください。

1.養育費を受け取っていないのは、珍しいことではありません
離婚したあと、養育費を継続して受け取っている家庭は、実は多くありません。
こども家庭庁
「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」
母子世帯で養育費を「現在も受けている」
28.1%
養育費の取り決め自体をしている世帯
46.7%
受け取っている世帯の平均月額
50,485円
数字の背景は家庭ごとに違います。
「相手と関わりたくなくて請求しなかった」「取り決めをしないまま別れた」「最初は払われていたのに止まった」。
どれも、珍しい話ではありません。
そして、お子さんが不登校の時期と重なると、負担はさらに重くなりがちです。
登校の付き添いや急な休みへの対応で働き方に制限が出る一方、進学先の学費など、これからかかるお金も見えてくる。
そういう時期だからこそ、養育費について一度整理しておく意味があります。
養育費は、親のためのお金ではなく、子どもが生活し、学ぶためのお金です。
請求することは、特別なことでも、わがままなことでもありません。

2. まず確認したいのは「取り決め」があるかどうか
養育費の進め方は、離婚のときに取り決めをしたかどうかで大きく変わります。
ご自身がどちらに当てはまるかで、この先の章の読み方が変わります。

取り決めがある(調停調書・審判・公正証書・離婚協議書など)のに支払われていない → 3章へ

取り決めをしていない、または口約束だけ → 4章へ
取り決めの「形」も大切です
同じ取り決めでも、強制執行(差押え)のしやすさは形によって変わります。
家庭裁判所の調停調書・審判書
そのまま強制執行の根拠になります
公正証書(「強制執行を受けても構いません」という文言=執行認諾文言つき)
強制執行の根拠になります
夫婦で作っただけの離婚協議書や口約束
約束としての意味はありますが、差押えをするには改めて調停などの手続きが必要になります
3. 取り決めがあるのに支払われていない場合

まずは「履行勧告」という方法があります
家庭裁判所には、調停や審判で決まった養育費が支払われないときに、相手へ支払いを促してもらう「履行勧告」の制度があります。
費用はかからず、申し出も比較的簡単です。
ただし、強制力はないため、相手が応じない場合は次の手段に進みます。

支払いが続かない場合は、強制執行(差押え)
調停調書や執行認諾文言つきの公正証書があれば、相手の給与や預貯金を差し押さえる強制執行を申し立てることができます。
給与の差押えは、相手の勤務先から直接支払いを受ける形になるため、毎月の未払いを繰り返しにくい方法です。
相手の勤務先や財産が分からない場合に備えて、制度も整ってきています。
- 2020年の民事執行法の改正で「第三者からの情報取得手続」ができ、裁判所を通じて、市区町村や金融機関などから相手の勤務先・預貯金・不動産の情報を得られるようになりました
- 2026年4月からは「養育費等のワンストップ執行手続」が始まり、給与に関する情報の取得と、判明した給与の差押えを、1回の申立てで続けて進められるようになりました。養育費には先取特権(ほかの債権者より優先して回収できる権利)も付与されています(月額8万円×子どもの数が上限)
出典:裁判所「養育費等のワンストップ執行手続(第三者からの情報取得)」、法務省「養育費について」)
「相手の財産が分からないから、どうせ無理」と諦める前に、使える制度が増えていることは知っておいて損はありません。
4.取り決めをしていない場合
取り決めがない場合は、まず「額を決める」ところから始まります。
STEP
協議
相手との話し合い(協議)で決める
STEP
調停
話し合いが難しい場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てる
STEP
審判
調停でまとまらなければ、審判で裁判所が決める
金額の目安には、裁判所が公開している「養育費算定表」が使われます。
双方の収入と子どもの年齢・人数から、おおよその範囲が分かるようになっています。
知っておきたい2つのこと
- 過去の分は、さかのぼりにくい:取り決めがない場合、養育費は原則として「請求した時点から先」の分が対象になり、過去の未払い分をまとめて請求するのは難しいとされています。迷っている時間そのものが不利になりやすいので、早めの相談が大切です
- 2026年4月以降に離婚した場合は「法定養育費」があります:2026年4月1日以降の離婚では、取り決めをしていなくても、取り決めができるまでの間、子ども1人につき月額2万円の「法定養育費」を請求できるようになりました。あくまで暫定的な制度で、正式な額は協議や調停で決めることが前提です。なお、2026年3月31日以前に離婚した場合は、この制度の対象にはなりません
(出典:政府広報オンライン「法定養育費 取決めがなくても請求できる暫定的な養育費」)
5.自分で進める場合の相談先
手続きは、専門家に頼まなくても進めることができます。費用を抑えたい場合の相談先として、次のような窓口があります。
お住まいの自治体のひとり親相談窓口
制度全般の相談ができます
法テラス(日本司法支援センター)
収入などの条件を満たす場合、無料の法律相談が利用できます
家庭裁判所
調停の申立ては本人でもできます。履行勧告も家裁への申し出です
ただし、調停や差押えの手続きは、書類の準備や期日への出席など、それなりに時間と手間がかかります。
お子さんの対応で日々に余裕がない時期は、その負担自体が重い、というのも正直なところだと思います。
6. 相手と直接やり取りせず、専門家に任せる選択肢
①養育費の回収を扱う弁護士事務所に依頼する
「相手と連絡を取り合うこと自体がつらい」「仕事と子どもの対応で、手続きに割く時間がない」という場合は、養育費の回収を扱う弁護士事務所に依頼する方法もあります。
たとえば、ひやま法律事務所が運営する「養育費ドットネット」は、養育費の未払い回収に絞ったサービスです。

- 相談料・着手金は0円で、費用は成功報酬制です
- ただし、契約の際に事務手数料が発生します。「完全に無料」ではない点は、先に知っておいてください
- 相手とのやり取りは事務所が間に入るため、直接顔を合わせたり、連絡を取り合ったりする必要がありません
②これからの支払いに備える「養育費保証」という方法
上で紹介した養育費ドットネットは、すでに支払われていない分を取り戻すための方法でした。
これとは別に、「これから先、支払いが止まったらどうしよう」という不安に備えるサービスもあります。
株式会社Casaの「養育費保証PLUS」は、養育費の取り決めがある人を対象に、相手からの支払いがなかった月に、Casaが代わりに立て替えて支払う保証サービスです。
自治体によっては、初回保証料への補助(最大5万円)を受けられる場合もあります。

- 契約時の初回保証契約料が月額養育費の1か月分、月額保証料が月額養育費の3%(最低1,000円)で、それ以外の費用や更新料なし
- 立て替えは、累積で月額養育費の36か月分まで続けられます
- 未払いがあったときは、翌月10日までに連絡すると7営業日以内に振り込まれます(口座振替型のプランでは、連絡しなくてもCasaから振り込まれます)
申し込みには審査があり、離婚済みの方は「現在、未払いがないこと」が条件です。
過去にたまった未払い分は保証の対象にならないため、その分の進め方は、強制執行や弁護士への依頼など別の方法とあわせて考える形になります。
離婚前でも事前審査は受けられます。
向いているケース・向いていないケース
正直に分けて書いておきます。

向いているケース
- 離婚は成立していて、養育費の支払いがない・止まっている
- 相手と直接やり取りをせずに進めたい
- 自分で調停や差押えの手続きをする時間を取りにくい

対象かどうか分からない場合は、まず無料相談で確認するのが確実です。
7.まとめ

- 養育費を現在も受け取っている母子世帯は28.1%。受け取れていないのは珍しいことではありません
- 進め方は「取り決めの有無」で変わります。ある場合は履行勧告・強制執行、ない場合は協議・調停で額を決めるところから
- 2020年の法改正や、2026年4月からのワンストップ執行手続・法定養育費など、請求を後押しする制度は増えています
- 自分で進める場合は自治体窓口や法テラス、負担が大きい場合は専門家に任せる方法もあります
養育費は、子どものこれからの生活と学びを支えるお金です。
進学など、これからお金がかかる時期が見えているなら、なおさら一度、整理してみる価値があります。
通信制高校など進学にかかる費用については、こちらの記事でまとめています。
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参考・出典
- こども家庭庁「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」
- 法務省「養育費について」
- 裁判所「養育費等のワンストップ執行手続(第三者からの情報取得)」
- 政府広報オンライン「法定養育費 取決めがなくても請求できる暫定的な養育費」
- 法テラス(日本司法支援センター)
※制度の内容は2026年10月時点の公表内容です。個別の事情によって進め方は変わるため、具体的な手続きは窓口や専門家にご確認ください。




